2026年10月1日に変わること。ひとり社長に関係あるのは8つで、罰則があるのは1つだけです
2026年10月1日に、いくつもの制度が同時に変わります。全部を追う必要はありません。従業員が少ない会社と個人事業主に関係あるものは、8つです。
そして罰則(過料)があるのは、そのうち1つだけです。まずそこだけ押さえてください。
| # | 変わること | 対象 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| ① | カスハラ対策が事業主の義務に | 人を雇っている全事業主 | なし(社名公表) |
| ② | 求職者へのセクハラ防止措置が義務に | 採用活動をする全事業主 | なし(社名公表) |
| ③ | パートの労働条件通知書に1項目追加 | パート・有期を雇う事業主 | 10万円以下の過料 |
| ④ | 同一労働同一賃金の指針に6項目追加 | パート・有期を雇う事業主 | なし |
| ⑤ | インボイスの経過措置が80%→70%に | 免税事業者に支払う側 | なし |
| ⑥ | 保険料調整制度が開始 | 任意特定適用事業所 | なし |
| ⑦ | 106万円の壁(賃金要件)の撤廃 | 短時間労働者を雇う事業主 | なし |
| ⑧ | 最低賃金の改定 | 人を雇っている全事業主 | 罰金50万円以下 |
以下、1つずつ。それぞれ詳しい記事があります。
① カスハラ対策が事業主の義務になります
労働施策総合推進法33条。顧客からの暴言や不当な要求から従業員を守る措置が、事業主の義務になります。
アルバイト1人でも対象です。そしてパワハラ防止措置のときにあった「中小企業は3年猶予」が、今回はありません。10月1日から全事業主が対象です。
罰金はありませんが、勧告に従わない場合は社名が公表されます。
→ アルバイト1人でも対象。10月1日からのカスハラ対策義務化に、中小企業の猶予はありません
② 求職者へのセクハラ防止措置も義務になります
男女雇用機会均等法13条の新設。まだ雇っていない相手――応募者、インターン、説明会の参加者――に対する義務です。
インターンを1人受け入れるだけで対象になります。対象の場面はSNSでのやりとり、オンライン面接、懇親会も含みます。
→ インターンを1人受け入れるだけで対象。10月1日から求職者へのセクハラ防止措置が義務になります
③ パートの労働条件通知書に1項目増えます(過料あり)
8つの中で、罰則があるのはここだけです。
労働条件の明示事項が4つから5つに増えます。追加されるのは「説明を求めることができる旨」の1項目です。有期契約の場合、契約更新のたびに必要になります。
違反すると10万円以下の過料。書式を1回直せば済む話なので、先に片付けてください。
→ 10月1日からパートの労働条件通知書に1項目増えます。契約更新のたびに必要です
④ 同一労働同一賃金の指針に6項目追加されます
退職手当・無事故手当・家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇・褒賞の6つが、ガイドラインに追加されます。
ここで誤解されやすいのは「同一」の意味です。1円まで同額にするという意味ではありません。手当の性質と目的から見て、待遇差が不合理でないかを検討します。
→ 家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇がパートにも。同一労働同一賃金ガイドラインに6つ追加されました
⑤ インボイスの経過措置が80%から70%に下がります
免税事業者への支払いで、仕入税額控除できる割合が下がります。払う側の話です。
月100万円ぶんの外注があれば、負担は年間で約11万円増えます。契約や取引のやり方を何も変えなくても、10月1日をまたいだだけで増えます。
この先は70%→50%→30%と下がります(令和8年度税制改正で、期限が2年延びた上で段階的になりました)。
→ 2026年10月1日から、免税事業者への支払いの控除が80%から70%に下がります
⑥ 保険料調整制度が始まります(負担は増えません)
任意特定適用事業所になった事業所が対象です。従業員の希望で厚生年金に入れる仕組みに関する制度です。
立て替えた分は後で全額控除されるので、事業主の最終負担は増えません。名前が難しいだけの制度です。
→ 事業主の負担が増えない珍しい制度。10月1日から始まる「保険料調整制度」の要件
⑦ 106万円の壁は、撤廃されても週20時間が残ります
賃金要件(月額8.8万円)の撤廃は法律で決まっていますが、施行日は政令で定めるとされています。厚生労働省は撤廃の時期について、こう書いています。
撤廃の時期は、法律の公布から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断します
そして撤廃されるのは賃金要件だけです。ほかの条件は残ります。
- 週20時間以上
- 企業規模51人以上
- 2か月を超える雇用の見込み
- 学生は対象外
「壁がなくなる=週20時間だけで加入」ではありません。ここは誤解が広がりやすいところです。
→ 「106万円の壁」は10月1日に撤廃“予定”です。施行日を決める政令はまだ出ていません
⑧ 最低賃金が改定されます
東京・千葉・愛知など多くの都道府県で、10月1日に新しい最低賃金が発効します。発効日は都道府県ごとに違います。
計算で見落としやすいのは2つです。月給の人も対象で、通勤手当と残業代は計算に入れません。時間額に割り戻して比べます。
→ 最低賃金が上がるとき、人を雇っている側が9月中にやること
今日やること、ひとつだけ
自分の都道府県の最低賃金の発効日と、新しい金額を調べる。
⑧は全事業主が対象で、唯一の罰金(50万円以下)があり、しかも日付が県ごとに違います。ここだけは今日のうちに確認してください。
③の書式の直しは、その次でいいです。
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※このページは制度の一般的な説明です。個別のご相談には応じられません。個々の判断は、所轄の労働基準監督署・年金事務所・税務署、または資格をお持ちの専門家にご確認ください。