最低賃金が上がるとき、人を雇っている側が9月中にやること
最低賃金が上がるとき、時給で払っている人だけの話だと思われがちですが、そうではありません。
月給で払っている人も対象です。月給を時間あたりに換算して、最低賃金額と比べます。
しかもこの計算には、入れてよい手当と入れてはいけない手当があります。ここを間違えると、払っているつもりで下回ってしまいます。
全国一斉ではありません
まず前提として、最低賃金の発効日は都道府県ごとに違います。
地域別最低賃金は、各都道府県労働局長が決定します。「10月1日から」と決まっているわけではありません。
昨年度は、10月1日から翌年3月31日まで幅がありました。自分の都道府県の発効日を確認してください。
月給の人をどう判定するか
計算式はこうです。
月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
厚生労働省が示している計算例では、次のようになっています。
```
(180,000円 × 12か月) ÷ (250日 × 8時間) = 1,080円
```
月給18万円、年間所定労働日数250日、1日8時間の場合、時間あたり1,080円という計算です。この数字が、自分の都道府県の最低賃金額を下回っていないかを見ます。
計算に入れない手当があります
ここが間違えやすいところです。次の手当は、最低賃金と比べる賃金には含めません。
- 通勤手当
- 時間外割増賃金(残業代)
- 深夜割増賃金
- 休日割増賃金
- 精皆勤手当
- 家族手当
- 賞与など、臨時に支払われる賃金
含めるのは、基本給と職務手当などです。
つまり「通勤手当込みなら足りている」は通りません。通勤手当を除いた金額で判定します。
残業代を含めて計算してしまうと、実態より高く見えてしまうので注意してください。
下回っていた場合
最低賃金額より低い賃金は、労働者と使用者の合意があっても無効です。最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。
そのうえで、次の責任が生じます。
- 差額の支払い義務
- 50万円以下の罰金(最低賃金法第40条)
「本人が納得している」「そういう契約だった」は理由になりません。
出典:e-Gov 最低賃金法
やることは3つ
① 自分の都道府県の発効日を調べる
厚生労働省のサイトか、都道府県労働局のページで確認できます。全国一斉ではないので、自分の事業所がある都道府県を見てください。
複数の都道府県に事業所がある場合は、それぞれの発効日を確認する必要があります。
② 月給を時給に換算する
月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間で計算します。
1箇月平均所定労働時間は、年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12 で求めます。
このとき、通勤手当・残業代・家族手当・精皆勤手当は月給から除いて計算してください。
③ 足りなければ引き上げる
発効日までに引き上げます。発効日を1日でも過ぎて下回っていれば、その日から違反です。
引き上げが難しい場合は、業務改善助成金など、賃上げを支援する制度があります。要件があるので、厚生労働省のページで確認してください。
まとめ
- 最低賃金の発効日は都道府県ごとに違う。全国一斉ではない
- 月給の人も対象。月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間で比べる
- 通勤手当・残業代・家族手当・精皆勤手当は計算に入れない
- 下回れば差額の支払い+50万円以下の罰金。合意があっても無効