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業務改善助成金の締切は11月30日ではありません。47都道府県の申請期限を計算しました

2026-09-07
業務改善助成金最低賃金助成金経営者

「業務改善助成金は11月30日まで」。そう聞いている方が多いと思います。

その日まであるのは、47都道府県のうち3つだけです。

厚生労働省は申請期間をこう書いています。

申請期間は令和8年9月1日~申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日又は同年11月30日のいずれか早い日となります。

出典:厚生労働省 業務改善助成金

最低賃金が上がる日は都道府県ごとに違います。だから締切も違います。11月30日は「いちばん遅くてもここまで」という上限であって、ほとんどの地域には関係のない日付です。

47都道府県の申請期限

厚生労働省が令和8年9月3日に公表した答申状況(別紙)の47行から、「発効予定日の前日」(11月30日を上限)を計算したものです。2026年9月7日時点の内容です。

★ は期限が土日に当たる県です(後述します)。

申請期限都道府県令和8年度の最低賃金発効予定日
9月30日(水)北海道1,131円10月1日(木)
9月30日(水)宮城1,098円10月1日(木)
9月30日(水)栃木1,125円10月1日(木)
9月30日(水)埼玉1,196円10月1日(木)
9月30日(水)千葉1,195円10月1日(木)
9月30日(水)東京1,280円10月1日(木)
9月30日(水)神奈川1,279円10月1日(木)
9月30日(水)新潟1,108円10月1日(木)
9月30日(水)富山1,119円10月1日(木)
9月30日(水)岐阜1,121円10月1日(木)
9月30日(水)愛知1,195円10月1日(木)
9月30日(水)三重1,143円10月1日(木)
9月30日(水)大阪1,231円10月1日(木)
9月30日(水)兵庫1,172円10月1日(木)
9月30日(水)香川1,092円10月1日(木)
10月1日(木)長野1,117円10月2日(金)
10月1日(木)岡山1,104円10月2日(金)
10月2日(金)群馬1,120円10月3日(土)
10月2日(金)石川1,113円10月3日(土)
10月2日(金)滋賀1,136円10月3日(土)
10月2日(金)和歌山1,101円10月3日(土)
10月2日(金)鳥取1,090円10月3日(土)
10月3日(土) ★福井1,112円10月4日(日)
10月3日(土) ★奈良1,107円10月4日(日)
10月3日(土) ★福岡1,114円10月4日(日)
10月7日(水)山口1,101円10月8日(木)
10月9日(金)島根1,092円10月10日(土)
10月10日(土) ★広島1,141円10月11日(日)
10月13日(火)秋田1,090円10月14日(水)
10月14日(水)静岡1,154円10月15日(木)
10月15日(木)福島1,094円10月16日(金)
10月17日(土) ★茨城1,136円10月18日(日)
10月23日(金)宮崎1,085円10月24日(土)
10月24日(土) ★鹿児島1,090円10月25日(日)
10月28日(水)青森1,090円10月29日(木)
10月28日(水)高知1,086円10月29日(木)
10月29日(木)山形1,092円10月30日(金)
10月31日(土) ★山梨1,113円11月1日(日)
10月31日(土) ★徳島1,103円11月1日(日)
10月31日(土) ★愛媛1,093円11月1日(日)
10月31日(土) ★大分1,096円11月1日(日)
11月1日(日) ★長崎1,087円11月2日(月)
11月14日(土) ★佐賀1,095円11月15日(日)
11月15日(日) ★京都1,180円11月16日(月)
11月30日(月)岩手1,090円12月1日(火)
11月30日(月)熊本1,092円12月1日(火)
11月30日(月)沖縄1,086円12月2日(水)

9月30日が期限の都道府県が15あります。北海道・宮城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・岐阜・愛知・三重・大阪・兵庫・香川。10月3日までで数えると25都道府県、全体の半分を超えます。

11月30日まであるのは岩手・熊本・沖縄の3つだけです。

この表の読み方に3つ注意があります

1つめ。発効日はまだ「予定」の県があります。別紙の見出しは「発効日(予定)」で、注記に「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」とあります。ただし官報公示は効力発生日のおよそ30日前に行われるため、10月上旬に発効する県はすでに公示を終えているものが多く、東京労働局は「効力発生日は令和8年10月1日です」と確定形で書いています。11月・12月発効の県ほど、まだ動く余地があります。

2つめ。労働局の告知が優先します。上の表は答申状況からの計算値です。自分の県の労働局が日付を出していれば、そちらが正です。

3つめ。締切を日付で書いている労働局は少数です。東京(9月30日必着)、千葉(9月1日から9月30日まで)、福岡、秋田、静岡などは日付を出していますが、北海道・埼玉・神奈川・愛知・大阪は「発効日の前日または11月30日のいずれか早い日」という条件式のままです。愛知の発効予定日は10月1日なので、答えは9月30日です。11月30日ではありません。

期限が土日の県は、紙の申請だけ前倒しされることがあります

計算上の期限が土日に当たる県が13あります(福井・奈良・福岡・広島・茨城・鹿児島・山梨・徳島・愛媛・大分・長崎・佐賀・京都)。ここで実際に運用が分かれています。

福岡(計算上は10月3日・土)について、福岡労働局はこう告知しています。

【窓口申請】10月2日(金)17時15分までに福岡労働局雇用環境・均等部企画課で受付を終えてください。
【郵送申請】10月2日(金)17時15分必着です。(当日消印有効ではありません。申請期限を過ぎて当局のポストへ直接投函されても受理できません。)
【電子申請】10月3日(土)23時59分までに申請を終えてください。

佐賀(計算上は11月14日・土)も同じ形で、窓口・郵送は11月13日(金)17時15分、電子申請は11月14日(土)23時59分です。

紙は直前の平日に前倒し、電子は計算どおり。2つの労働局が同じ扱いをしています。ただしこれが全県共通の運用だという告知はどこにもありません。★の付いた県は、自分の労働局の告知を見るか、電話で確かめてください。

なお「消印有効ではない」と明示している局があります。郵送するなら追跡できる方法で、数日前に到着する日程で送ることになります。

その前に。対象になる事業所は、思ったより狭いです

締切の話をする前に確かめたほうが早いことがあります。この助成金は、条件を満たさない事業所には1円も出ません。厚生労働省と交付要綱・Q&Aから、外れる条件を並べます。

従業員がいない事業所は対象外です。厚生労働省のページに、そのまま書かれています。

労働者(従業員)がいない場合は、助成の対象となりません。

社長ひとりの会社、役員だけの会社は使えません。役員報酬を上げても対象になりません。この助成金は「事業場内最低賃金」、つまりそこで働く労働者のいちばん低い時給を引き上げるための制度だからです。

引き上げる労働者は、雇用保険の被保険者に限られます。リーフレットは「週所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者が対象」としています。事業主本人と法人の役員は雇用保険に入れません。原則として同居の親族も入れません。家族だけを雇っている個人事業主は、この一点で外れます。

雇入れから6か月を経過している必要があります。交付要綱は「雇入れ後6月を経過した労働者」の事業場内最低賃金を引き上げることを求めています。Q&Aは事業所についても「少なくとも設立から6か月以上継続している必要があります」としています。今から雇っても今年度には間に合いません。

すでに新しい最低賃金以上を払っていると、対象外です。Q&Aは「申請時点で、事業場で一番時間給が低い労働者(雇用保険被保険者)が改定後の地域別最低賃金額以上の場合には申請出来ません」としています。逆に、現行の最低賃金を下回っている場合も申請できません。是正が先です。

東京労働局はこの範囲を数字で書いています。対象は「事業場内最低賃金が令和7年度地域別最低賃金(時間額1,226円)以上、令和8年度地域別最低賃金(時間額1,280円)未満の事業場」。上にも下にも壁がある設計です。

労働保険に入っていないと使えません。Q&Aは「未加入(又は労働保険料を滞納中の場合)は本助成金を受けることはできません」としています。

出典:交付要綱 / 交付要領 / Q&A(令和8年7月7日版) / リーフレット

「最大600万円」は誰の数字か

リーフレットの表紙には600万円と書いてあります。この数字に届く条件は3つ同時です。

  1. 特例事業者であること(事業場内最低賃金が1,050円未満、または最近6か月平均の利益率が前年同期比3%ポイント以上低下)
  2. 10人以上の労働者を90円以上引き上げること
  3. 助成率4/5として、税抜750万円以上の設備投資を自己資金で払い切ること

リーフレットにも注記があります。

※ 10人以上の上限額区分は、特例事業者が、10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になります。

従業員が数人の事業所で現実的なのは、次の額です。

引き上げ幅1人2〜3人
50円コース30万円(40万円)40万円(70万円)
70円コース40万円(50万円)50万円(100万円)
90円コース90万円(100万円)150万円(240万円)

カッコ内は事業場規模30人未満の場合の額です。ひとり社長・小規模事業者はこちらを見ることになります。

助成率は2種類だけです。引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満なら設備投資額の5分の4、1,050円以上なら4分の3。助成対象経費の下限は税抜10万円です。Q&Aは「税込価格(消費税率10%)が104,500円であっても、税抜価格は95,000円で10万円未満となりますので、対象となりません」と書いています。

そして助成額は「経費×助成率」と「上限額」の低いほうです。100万円を受け取るには、税抜125万円の設備投資が要ります。

「引き上げる労働者数」は従業員数ではありません

ここは誤解が多いところです。数えられるのは、①事業場内最低賃金の労働者と、②その引き上げによって賃金を追い抜かれる労働者のうち、申請コースと同額以上を同時に引き上げた人だけです。

すでに引き上げ後の額以上をもらっている人は、いくら上げても数に入りません。従業員が3人いても、上の2人が既に高ければ「1人」区分です。

順番を間違えると1円も出ません

制度としていちばん怖いのはここです。工程には決まった順序があります。

  1. 相見積もりを2社以上そろえる(税抜10万円以上の契約。自社・グループ会社・代表者の3親等以内の親族が作った見積書は不可。交付決定後は最低価格を出した業者と契約する義務があります)
  2. 交付申請書を労働局に提出する
  3. 賃金を引き上げる(②より後、かつ発効日の前日まで)
  4. 交付決定を待つ(申請の到達から原則3か月以内に通知。交付要綱第6条)
  5. 設備を契約・発注・納品・支払(④より後。前に契約すると対象外)
  6. 2027年1月31日までに全部を完了
  7. 実績報告 → 交付額の確定(報告の到達から原則20日以内) → 入金

賃金引き上げは、申請より後です。東京労働局は「賃金引上げは、申請後から地域別最低賃金の発効日の前日までに行う必要があります」と書いています。9月1日から上げてよい、ではありません。申請前に上げると対象になりません。

設備の契約は、交付決定より後です。Q&Aは「導入機器等の納品や契約は、必ず交付決定後でなければならず、交付決定前に納品や契約された場合は助成を受けることはできません」としています。締切に焦って先に買うと、全額が自腹になります。

この2つを並べると、構造が見えてきます。賃上げは交付決定より前に確定し、交付決定は最大3か月後に来ます。つまり賃金を上げた3か月後に不交付の通知が届くことがあり得ます。しかも一度上げた賃金を下げれば、それ自体が不交付事由です。設備は一度きりの支出ですが、上げた時給は毎年続く固定費になります。

お金は先に全額出ていきます。概算払はありません。設備代は自己資金で払い切り、納品・支払・賃上げをすべて終えて実績報告し、確定を経てから振り込まれます。支払は振込に限られ、ポイント払い・ギフトカード払いは認められません。

事業完了期限は交付決定年度の1月31日です。納品・支払完了・賃金引き上げのすべてがこの日まで。2027年1月31日は日曜日なので、振込は実質1月29日(金)までに終える想定になります。

9月30日締切の県で、いま申請するとどうなるか

千葉労働局は締切を9月30日と明示したうえで、賃金引き上げ期間も9月30日までと書いています。引き上げは申請より後でなければならないので、9月30日に申請書を届けても、その日のうちに引き上げを実施して就業規則等にも定める必要があり、工程として成立しません。

東京労働局はこう警告しています。

ご提出いただいた書類に不足・不備がある場合には、事前連絡なく、申請書類一式の返戻、または、不交付とする場合があります。

同一事業場の申請は年度内1回までです。期限間際に出して返戻されると、その年度は終わります。

なお従業員10人未満で就業規則がない場合は「就業規則に準ずるもの」を作ることになります。Q&Aは、引き上げ後の事業場内最低賃金額・賃金引き上げ日・作成者・作成年月日を記載し、労働者代表の意見書を添えて周知することを求め、「一般的な労働契約書及び労働条件通知書は、就業規則に準ずるものには当たりません」としています。雇用契約書を書き換えただけでは足りません。

予算は21億円です

令和8年度の当初予算額は21億円です。厚生労働省の令和9年度概算要求の概要(雇用環境・均等局)に「業務改善助成金 【543億円(21億円)】」とあり、カッコ内が前年度当初予算額です。

1件100万円として、全国で2,100件分の規模です。リーフレットにはこう書かれています。

予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります。

2026年9月7日時点で、募集終了の告知は出ていません。ただし終了は事後に告知されます。

(同じ資料で、令和9年度の概算要求は543億円と大幅に増えています。ただし概算要求は要求額であって、成立する予算額ではありません。)

聞く先

制度の一般的な質問は業務改善助成金コールセンター(0120-366-440、平日9時00分〜17時00分)。

自分の県の締切、書類の中身、個別の可否は管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)です。千葉と沖縄は「部」ではなく「室」です。締切日を自局サイトに載せていない局もあるので、電話で確かめるのが確実です。

なお交付申請書の作成や提出を代わりに行えるのは、社会保険労務士または弁護士に限られます。北海道労働局は、コンサルタントや設備販売業者による代理申請はできないと明記しています。

まとめ

最低賃金が上がるときに人を雇っている側でやることは、別の記事にまとめています。

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※この記事は制度の一般的な説明です。個別の申請可否や手続きについては、管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。当サイトは資格を持たず、個別のご相談には応じられません(このサイトについて)。
※記載は2026年9月7日時点で厚生労働省および各都道府県労働局が公表している内容にもとづきます。発効日は変更される場合があります。

この記事は制度の一般的な説明です。個別の判断については税理士・社会保険労務士など有資格の専門家にご相談ください。

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