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家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇がパートにも。同一労働同一賃金ガイドラインに6つ追加されました

2026-09-05
同一労働同一賃金パート有期雇用労働法手当経営者

パート・アルバイト・契約社員を1人でも雇っているなら、2026年10月1日が節目です。

話題になっているのは「家族手当や夏季冬季休暇もパートに」という部分ですが、今回の改正一式でお金の罰(10万円以下の過料)がつくのは、まったく別のところです。順番を間違えないための整理をします。

変わるのは3つ。罰則があるのは1つだけ

2026年4月28日に公布され、10月1日から適用されるのは次の3つです。ひとまとめに「同一労働同一賃金の改正」と呼ばれていますが、性格がまったく違います。

何が変わるか番号内容罰則
パート・有期法 施行規則令和8年厚生労働省令第87号雇い入れ時の明示事項が1つ増えるあり。10万円以下の過料
同一労働同一賃金ガイドライン令和8年厚生労働省告示第203号6つの待遇を新たに記載指針自体に罰則はない
雇用管理指針令和8年厚生労働省告示第202号福利厚生施設の便宜供与、説明方法など指針自体に罰則はない

罰があるのは1つ目だけです。こちらは別記事(労働条件通知書に1項目増えます)にまとめました。手当をどうするか悩んでいるうちに、通知書のほうで足をすくわれないようにしてください。

番号の注意

解説記事に「厚生労働省告示第430号の改正」と書かれていることがあります。430号は改正される側、平成30年に作られた元のガイドラインの番号です。今回の改正を行う告示は令和8年厚生労働省告示第203号です。

新しく載った6つの待遇

ここが今回の芯です。改正前のガイドラインは、こう書いていました。

この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる

つまり名指しで「このガイドラインには書いていない」と断られていた待遇です。その空白が埋まりました。

待遇考え方(要旨)踏まえた裁判例
退職手当労務の対価の後払い・功労報償等の目的がパート・有期にも妥当するのに、均衡のとれた内容を支給せず見合いの事情もない場合、不合理と認められうるメトロコマース事件 最高裁
無事故手当通常の労働者と業務の内容が同一なら、同一の無事故手当を支給しなければならないハマキョウレックス事件 最高裁
家族手当契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるなら、同一の家族手当を支給しなければならない日本郵便(大阪)事件 最高裁
住宅手当転居を伴う配置変更の有無に応じて支給するタイプは、同一の転居を伴う配置変更があるなら、同一の住宅手当を支給しなければならないハマキョウレックス事件 最高裁
夏季冬季休暇パート・有期にも、同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない日本郵便(佐賀)事件 最高裁
褒賞(一定期間の勤続に対するもの)同一の期間勤続したパート・有期には、同一の褒賞を付与しなければならないメトロコマース事件 東京高裁

褒賞以外の5つは最高裁判決を踏まえたものです。

記載が「充実」した待遇もあります

待遇何が足されたか
賞与労務の対価の後払い・功労報償・生活費の補助・労働意欲の向上等の性質・目的が含まれうる旨
病気休職・病気休暇「療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む」と定義。正社員に病気休職期間の給与保障をしている場合、相応に継続的な勤務が見込まれるパート・有期にも同一の保障
福利厚生施設施設そのものだけでなく、利用料金・割引率等の利用条件も法第8条の適用を受ける

「同一」=1円まで同額、ではありません

文字面だけ見ると身構えますが、厚生労働省のQ&Aは条件を付けています。

よくある受け取り方実際に書かれていること
週2日勤務の人にも正社員と同額を払えガイドラインは「原則となる考え方等を示したもの」。待遇の性質・目的が「所定労働時間の長短にかかわらず妥当するか否か等の観点から検討し、決定する」(問1-8)
「相応に継続的な勤務が見込まれる」=勤続◯年具体的な勤続期間を示すことは困難」。契約期間、更新回数、有期雇用労働者全体の状況など諸事情を踏まえて判断される。数値基準は示されていない(問1-10)
ガイドラインに書いていない手当なら差をつけてよい「示されていない待遇や、具体例に該当しない場合であっても……不合理と認められる等の可能性があり」。書いていない=セーフではない

もうひとつ重要な点があります。ガイドラインは、「正社員とパートでは将来の役割期待が異なる」といった説明について、「主観的又は抽象的な説明では足りず」、客観的・具体的な実態に照らして判断されるとしています。

間違えやすいところ

差を埋めるのに、正社員側を下げる

改正後のガイドラインは「通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、パートタイム・有期雇用労働者の労働条件の改善を図ることが求められる」としました。

ただし、これは告示(指針)であって禁止規定ではありません。改正前から「望ましい対応とはいえない」とされていた趣旨を明確化したものです。あわせて、やむを得ず就業規則で不利益変更する場合の手続(労働契約法第9条・第10条)についても記載されています。

「指針だから罰則なし」で放置する

指針自体に罰則はありません。しかし不合理な待遇差と判断されれば、民事上の損害賠償の対象になりえます。上の表にある裁判例は、いずれも実際に争われたものです。

行政ルートでも、パート・有期法に基づく報告徴収・助言・指導・勧告があります。

「うちは正社員が社長1人だけだから関係ない」

比較の対象は「通常の労働者」です。社長1人が正社員で、あとはパートという構成でも、待遇差の問題は生じます。企業規模の要件はありません。

やること

① 払っている手当を書き出す

家族手当・住宅手当・退職金・無事故手当・褒賞。正社員にだけ出しているものがあるかを見てください。

② 夏季冬季休暇の有無を見る

手当より見落としやすいところです。正社員だけに夏季休暇があるケースは多くあります。

③ 「なぜ差があるのか」を言葉にできるか試す

「役割が違うから」で止まるなら、主観的・抽象的な説明にあたる可能性があります。

④ 原文を確認する

まとめ

この記事は制度の一般的な説明です。個別の判断については税理士・社会保険労務士など有資格の専門家にご相談ください。