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10月1日からパートの労働条件通知書に1項目増えます。契約更新のたびに必要です

2026-09-05
パート有期雇用労働法労働条件通知書労務経営者

パートやアルバイトを1人でも雇っているなら、2026年10月1日から労働条件通知書に書く項目が1つ増えます。

会社の規模も業種も関係ありません。そして「新しく人を採る予定がないから関係ない」と読むと危険です。有期契約は、更新のたびに明示が必要だからです。

先に安心してもらうと、様式を差し替える義務はありません。いま使っている通知書に1行足せば足ります。

何が増えるのか

パート・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第6条第1項は、パート・有期雇用労働者を雇い入れたときに「特定事項」を文書で明示するよう義務づけています。その中身を決めているのが施行規則第2条第1項です。

2026年4月28日公布の令和8年厚生労働省令第87号が、これを書き換えました。施行は2026年10月1日です。

2026年9月30日まで2026年10月1日から
第1号昇給の有無昇給の有無
第2号退職手当の有無退職手当の有無
第3号賞与の有無賞与の有無
第4号相談窓口説明を求めることができる旨(新設)
第5号相談窓口(繰り下がり)

新しく入る「法第14条第2項の規定による説明を求めることができる旨」とは何か。

同法第14条第2項は、パート・有期雇用労働者から求めがあったとき、事業主は正社員などとの待遇の相違の内容と理由を説明しなければならないと定めています。その「求めることができますよ」という案内を、雇い入れ時にあらかじめ書面で伝えておく、というのが今回の追加です。

改正省令の附則は「令和八年十月一日から施行する」の一文だけで、経過措置はありません。

対象

区分内容根拠
対象になる人同じ事業主に雇われる通常の労働者に比べて1週間の所定労働時間が短い法第2条第1項
対象になる人期間の定めのある労働契約を結んでいる人法第2条第2項
対象になる事業主上記の人を雇い入れる事業主。規模・業種の要件なし法第6条第1項
対象外国家公務員・地方公務員・船員法第29条
対象外無期雇用フルタイム労働者法第2条

社内の呼称は関係ありません。「準社員」でも「契約社員」でも、上のどちらかに当たれば対象です。

いちばんの注意点:更新も「雇い入れ」です

厚生労働省の解釈通達は、法第6条についてこう示しています。

有期雇用労働者であって、その更新をするときについては、労働契約の更新をもって「雇い入れ」ることとなるため、その都度法第6条の明示が必要となるものであること。

つまり有期契約のパート・アルバイトは、契約を更新するたびに明示が必要です。2026年10月1日以降に更新日が来る人がいれば、そのときに新しい項目が要ります。

労働基準法の明示とは、根拠も制裁も別です。

労働基準法 第15条第1項パート・有期雇用労働法 第6条第1項
対象すべての労働者パート・有期雇用労働者
タイミング労働契約の締結に際し雇い入れたときは速やかに
制裁30万円以下の罰金(労基法第120条第1号)10万円以下の過料(法第31条)

ただし通達は、法第6条の明示は労基法第15条第1項の明示に併せて行うことでも履行したことになるとしています。厚生労働省のモデル通知書にも同趣旨の記載があります。紙を2枚に分ける必要はありません。

何を書けば「明示した」ことになるか

通達は新設項目についてこう述べています。

事項位置づけ
「説明を求めることができる」旨を表示すること義務(これで履行になる)
説明を求める際の申出先を明示すること望ましい(義務ではない)

厚生労働省の記載例はこうです。

次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。
部署名     担当者職氏名     (連絡先     )

「通常の労働者」は自社の呼称(「正社員」等)に置き換えて構いません。

注意すべきは、これが既存の「相談窓口」とは別枠だという点です。改正後のモデル通知書には2行が並んで用意されています。

  1. 待遇の相違について説明を求めることができる窓口 ← 今回の新項目
  2. 雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口 ← 従来からある項目(法第16条)

同じ人が両方を兼ねること自体は妨げられていません。ただ、欄は2つあることは知っておいてください。

なお、モデル様式には「この様式どおりとする必要はない」と注記があります。いま使っている通知書に1項目を書き足せば足ります。

渡し方に制限があります

法第6条第1項は「文書の交付その他厚生労働省令で定める方法」と定めます。その「その他の方法」は施行規則第2条第3項の2つだけで、しかも労働者本人がその方法を希望した場合に限られます。

方法条件
書面(紙)の交付原則。本人の希望は不要
ファクシミリ本人が希望した場合のみ
電子メールその他の電気通信の送信本人が希望した場合のみ。かつ受け取った側が出力して書面を作成できるものに限る

通達は、この「電子メール等」にウェブメール、SMS、RCS、さらにLINEやFacebookなどSNSのメッセージ機能も含まれるとしています。

同時に、こう釘を刺しています。

間違えやすいところ

「新規採用がないから関係ない」

更新が「雇い入れ」です。10月1日以降に更新日が来る有期契約の人がいれば対象になります。

「様式を全部差し替えないといけない」

義務は5つの事項を文書の交付等で明示することです。様式そのものを変える義務ではありません。1項目を書き足せば足ります。

「LINEで送ればいい」

本人が希望した場合のみです。しかも全文が紙に出力できる形でなければなりません。こちらから一方的に選ばせることもできません。

「相談窓口を書いてあるからもう満たしている」

別枠です。相談窓口は従来からある項目(法第16条)で、今回増えたのは「説明を求めることができる旨」です。

「書き漏らしたら即10万円」

通達は、労働局長の助言・指導・勧告を行っても履行されない場合に公表の対象となり、過料に処するものとされる、と運用の流れを説明しています。ただし法第31条の条文自体に「勧告が先」という要件は書かれていません。そういう運用が示されている、というところまでが確かなことです。

やること

① 有期契約の人の更新日を並べる

10月1日以降に更新日が来る人がいるかを見てください。そこが期限です。

② いまの通知書に「説明を求めることができる旨」があるか見る

無ければ1行足します。申出先まで書くのは義務ではありませんが、望ましいとされています。

③ 原文を確認する

まとめ

この記事は制度の一般的な説明です。個別の判断については税理士・社会保険労務士など有資格の専門家にご相談ください。