2026年1月、下請法が「取適法」に変わりました。振込手数料の天引きは違法です
請求書に書いた金額と、実際に振り込まれた金額。見比べたことはありますか。
差額が数百円あって、それが振込手数料だった。よくある話です。しかし発注元が一定の規模なら、その天引きは違法です。合意していても認められません。
2026年1月1日に下請法が改正され、名称も内容も変わりました。何が変わったのかをまとめます。
法律の名前が変わりました
下請代金支払遅延等防止法(下請法) から 中小受託取引適正化法(取適法) へ。
2026年1月1日施行です。名称変更にあわせて、規制の中身も強化されています。
「下請」という言葉が持つ上下関係のニュアンスを避け、対等な取引という考え方を明確にする意図があります。
振込手数料の天引きは、合意があっても違法
発注者が代金を支払うとき、振込手数料を差し引いて支払うことは、下請代金の減額に当たります。
ここで重要なのは、あらかじめ合意していても違法という点です。
「振込手数料は御社負担でお願いします」と契約書に書いてあっても、それだけでは適法になりません。認められるのは、受注側が実際に負担することを書面等で明確に合意し、かつ実費の範囲内といった限定的な場合です。
多くの場合、発注者が負担すべきものです。
手形払いも禁止されました
改正により、手形など支払期日までに現金化できない支払手段による代金の支払いが禁止されました。
これまでは「支払期日までに現金化できない手形の交付」が禁止行為とされていましたが、より明確に規制されています。
協議に応じない一方的な値決めも禁止
買いたたきの規定が強化され、receiving側と十分な協議をせずに一方的に代金額を決定することが明確に禁止されました。
原材料費や労務費、エネルギーコストが上がっているのに、価格転嫁の協議に応じない。これが問題になります。
自分が対象になるか
取適法が適用されるのは、発注者と受注者の資本金の組み合わせによります。
製造委託・修理委託などの場合、発注者の資本金が3億円超で受注者が3億円以下、または発注者が1千万円超3億円以下で受注者が1千万円以下、といった区分があります。
情報成果物作成委託・役務提供委託では、区分の金額が異なります(5千万円が基準になります)。
個人事業主は「資本金なし」として扱われるため、発注元が一定規模以上の法人であれば、多くの場合対象になります。
正確な適用範囲は取引の種類によって変わるので、公正取引委員会のページで確認してください。
気づいたときにできること
まず、請求額と入金額を見比べる
差額があるか。あるとすれば何の差額か。1件でいいので確認してください。
継続的な取引なら、その差額は毎月発生しています。年間にすると無視できない額になります。
相談窓口があります
公正取引委員会と中小企業庁が窓口を設けています。匿名での情報提供も受け付けています。
- 公正取引委員会 相談・申告窓口
- 中小企業庁 下請かけこみ寺(全国48か所)
取引を失うことを心配して言い出せない、という声は多いのですが、発注者が報復すること自体が禁止されています(報復措置の禁止)。
まとめ
- 2026年1月1日、下請法が中小受託取引適正化法(取適法)に変わった
- 振込手数料の天引きは、合意があっても違法になり得る
- 手形払いは禁止
- 協議に応じない一方的な値決めも禁止
- 個人事業主は「資本金なし」として扱われ、発注元が一定規模なら対象になる